エフェクター #02

ベーシストにとってのエフェクター

コンプレッサー(Compressor)

Pedullaとヤマハのアンプ


今回はベーシストも良く使うコンプレッサーと”ひずみ”系です。

コンプレッサー(以下コンプ)とは、その名の通り音を圧縮するエフェクターです。

コンプレッサーをかけた時の出力の変化

素の音のグラフ
素の音
コンプかけた音のグラフ
コンプの音 :ピークが抑えられ、減衰を遅らせている

図のようにピークを抑え、音の立ち上がり、減衰率等も調整出来ます。

本来は、過大入力による音の歪を抑えたり、機器の保護のために使用しますので、リミッターとも呼ばれ、音響さんはコンプをかけています。

この特徴をギター用のエフェクターに転用すると面白いと思った人がいたんですね。

初めて聞いたのは、ラリー・カールトン(Larry Carlton:ギタリスト)のソロだったと思います。
音がずいぶんと伸びていてどうやっているのか不思議でしたが、コンプだったんです。
ギタリストはコードを弾くときにも、各音の粒を揃えるために使ったりします。

では、ベーシストはどのように使うのでしょうか?

多分、最初に多用されたのは、スラッピング(以下スラップ)の黎明期。
スラップはピチカート(指弾き)より音が大きくなってしまうため、
スラップ時にコンプをかけて両奏法の音量を揃えるためだと思います。

僕もそうしてました。
有名プレーヤーではピチカート用とスラップ用に2台のアンプを用意して、フット・スイッチで切り替えるなんて方もいましたが、現在では、スラップ時もタッチでコントロールする方が主流です。

参考:スラップとチョッパーが違う奏法と思っている方がいますが、Slappingは英語、
チョッパーは日本語です。昔、英語圏ではThumb and Pulling 、Thumbing等と統一した名称がなかったため、誰かが”チョッパー”と言い出して、それが広がったものです。英語のChopperはバイクです。

現在も、「音の粒を揃える。」ために使う方もいると思いますが、↑図のように「音の立ち上がり、減衰の仕方が変わる。」ので、同じフレーズを弾いてもグルーブ(ノリ)が変わります。

例えば、
コンプを深くかけると、「ガン、ガン」と弾いても「ガー、ガー」って感じになります。
4ビートなら、音の立ち上がりを遅めにすれば、コントラ・バス(ウッド・ベース)を強く弾いた感じにも似てきます。
この様に、コンプを上手く使いこなせるようになれば、表現は豊かになると思います。

また、ベースの信号はコンプの回路を通るのでどうしても音が変わりますから、
むしろ、積極的に音が良くなるように、プリ・アンプっぽく作ってあるコンプも増えました。
(プリに内蔵してあるものもある。)

それでも、コンプが嫌いな人もいます
例えば僕です。やはり、タッチでコントロールしたいからです。
コンプのように電気的にグルーブに変化を起こす必要がある時は、
僕は”ひずみ”を使います。

ひずみ系

オーバー・ドライブ
Cool Cat

オーバー・ドライブ、ディストーション、ファズ等と言います。
(色々な名があるので”ひずみ”系としました。)

昔はアンプをフルテン(ツマミを全て10)にして歪ませました。
過大入力の状態でアンプを稼働させると、音は歪みます。
まさに、オーバー・ドライブです。

クリーン音と歪音の波形

素の音のグラフ
素の音
歪んだ音のグラフ
過大入力分が潰れる

入力の限界以上の信号を入力すると、右図ように角張った波形になり歪みます。この状態は圧縮もされてもいますから、コンプをかけた状態と同じです。
この状態を電気的に作り出しているのが、”ひずみ”系のエフェクターです。

最初に発表された製品に”Fuzz(ファズ)”と名付けられました。
使う素子や回路によって音色、歪み方が変わりますので、その後、色々な名称で発売されました。
また、メーカー独自の名称もあります。(Big Muff等々)

根拠はありませんが、大雑把な特色は、

  • ファズ:何がなんでも歪む。
  • ディストーション:派手に明るく歪む。
  • オーバー・ドライブ:タッチで歪が変わる。ディストーションよりあまい音色。

ファズ>ディストーション>オーバー・ドライブの順で”ひずみ”が強いと思って良いと思います。

この”ひずみ”系のエフェクターは数えられないほど発売されていますので、試奏したくてもしきれないと思います。

波形を変化させるエフェクターなのでベース用でなくても良いとは思いますが、
この歪ませた音は、”ヌケが悪い”(注20)んです。
一応ベース用のものはこの問題も考慮してあるように思います。
また、プリ内蔵の”ひずみ”を使うと音色の調整と1台で出来るので、セッティングが楽だと思います。

(注20)”ヌケが悪い”:自分一人で演奏している時には”イイ感じ”なのに、バンドで音を出すと、他の楽器の音に埋もれてしまい。聞き取り難くなることが、多々あります。この状態、音色を”ヌケが悪い”、”音ヌケが悪い”と言います。
参考:SansAmpというプリ・アンプが流行りました。まだ、愛用している方も多いと思いますが、
この”ひずみ”はベーシストにはとても使いやすかったことが、ヒットの一因だと思います。

”ひずみ”は、自分で気持ち良い音よりトレブリー(固い、倍音が多い)にセッティングすると、
”ヌケ”やすくなります。

ヘッド・フォンや自宅のアンプで作った音色は、ライブ会場やスタジオで聞くと変わってしまいます。
現場で素早くエディット(調整)出来るように練習しておきましょう!

多くのプレーヤーが”ひずみ”を使ってますが、
衝撃を受けたのがティム・ボガート(Tim Bogert)(注21)でした。
圧倒的なテクニックはもちろん、”ひずみ”を使ってのグルーブは「素晴らしい!」以外の表現はありません。彼のグルーブは”ひずみ”なくしては出せません。
聞いたことない方は、検索して「是非、聞いてみてください!」

(注21)ティム・ボガート(Tim Bogert):ヴァニラ・ファッジ、カクタス、B.B.A.のベース・ヴォーカリスト。
まだ、現役だと思います。

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