やさしい音楽理論-楽器編 #02   ベースを買う時に必要な知識

ベースを買う時に必要な知識

今回は苦労してます。
音色等を客観的な言葉で表現するのは難しいので、
ほぼ僕の主観と思ってお読みください。

ベースの音のイメージは、「ボーン」、「プーン」…と思われていますが、
実際、スピーカーの真ん前の音、ライン(注1)の音はむしろ
「ビーン」とか「ガーン」と鳴っています。
この音が、ボーカルや他の楽器と混ざると倍音の領域が聞こえなくなり、
「ボーン」、「プーン」と聞こえます。

(注1)ライン:ボーカルや楽器から直接ミキサー(注2)に入った信号(音)
(注2)ミキサー:ボーカルや他の楽器の音をバランス良く混ぜるための機器

まず、倍音と周波数をなんとなく分かってください。

倍音

音には倍音が含まれています。
基になる音を基音と言い、譜面のように倍音が鳴っています。

倍音構成 : ベースを買う時に必要な知識

この倍音の含まれ方で音色が決まります
家電などで”ピーッ”とか鳴る警告音は倍音がない音です

周波数

音や電波の振動数で、Hz(ヘルツ)という単位で表されます。
1Hzは「1秒間に1回の振動する」という意味で、
音の場合はこの振動回数が少ない程低い音です。
いちいち周波数では話をするのは大変なので、
低域(Bass)、中域(Middle:Mid.)、高域(Treble)と大雑把に分けて表現します。
オーディオのつまみと同じです。
Bass : ~400Hz位
Mid : 300~2,000Hz位
Treble : 1,800Hz以上
この範囲も決まりはないので、僕の主観です。

グラフ:周波数

人の可聴範囲は20Hz~20,000Hz位と言われていますが、20Hz以下も感じています。
ベースの音域は30Hz~900Hz程しかありませんが、
倍音を含んでいるために音色の変化を聴き取れます。

音響的には低い音から高い音までフラットなことが良いこととされていますが、
楽器にとって個性(癖)を持たせるのがヒットにつながります。
「500~800Hz辺りにピークがある。」を
例えば、「ゆたかな中域を持っている」等と表現します。

音響工学のいい音と音楽のいい音は違うのです。

構造、材による音色や特性など

ボディ

木材で出来ているものが殆どです。

外観で書いたようにPB、JBが主流ですが、この作りの楽器は材の影響が大きいです。
その材の名称ですが通称だったり、日本では別の名称だったり、
植物の木の名称ではなかったりすることが多いです。

カタログのスペックで使われる代表的な材の名称
名称特色イメージ重量
アルダー中域が豊かで、コントロールし易い上品な紳士軽い
アッシュレンジ(注3)が広く、音の立ち上がりが早い若く元気なアスリート重い
スワンプ・アッシュアッシュとは別の木材らしい.。
アッシュに似ている
若く元気な青年軽い
ウォルナット豊かな低域、あまい音色頼りがいがある中年アッシュ
より重い
バスウッドエントリー・モデルに良く使われる不明不明
非木材不明不明不明
カーボン計算して作られているので、悪い印象の楽器に出会ったことはないオールマイティに
出来る優等生
重い
各種樹脂不明不明不明
楽器用木材の種類 こちらもご参考に…

(注3)レンジ:周波数の表現。この場合、音域の幅という意味

ボディ構造
ソリッド・ボディ
名称工法特色
単板1枚の板を楽器の形に切り出す。
初期のFenderのベースの作り方。
大きな材が必要
材の個性がそのまま出ます
ブックマッチ1枚の板を水平に切り、開いて貼り合わせる。
アコースティック楽器のトップ(表面板)の作り方。
対称な木目が出来るので綺麗。音響特性も良いという説もある。
単板と同じく材の個性がそのまま出ます
色々な材を張り合わせたボディ*あえて材の特徴を消し、メーカーの理想とする音にするための工法↑の2タイプより個体差が少ない

* : よく ” ラミネート・ボディ ” と言われたりしますが、本来ラミネートは合板という意味で、
ベニヤ、コンパネ材等のことなので、メーカー、工房への尊敬の思いから、この言い方にしました。

TRB-5裏面

ブックマッチ

Yamaha TRB-5
このように開いた板を張り合わせているので
左右対称な木目が出来ます。

表面はこちら

ブックマッチとは日本語らしいです。

ホロウ・ボディ

アコースティック楽器のように空洞があるもの。
構造上、色々な材を貼り合わせる。
JB,PBのような形もの、フォーク・ギター形のものと色々あります。

ボディに空間があるので、アコースティク風な音になります。

ネック

ほとんどがメイプルです。
(メイプルを主材に色々な材を挟み込んだネックも多い。)
最近ローステッド・メイプルという加熱加工したものも流行っています。
メイプルを主に複数の材を貼り合わせたものも多くあります。
↓ スルーネックの photo がメイプルを3層の貼り合わせたのがみられると思います。
Warwickが面白い材を使ってます。
ウェンジ、オバンコールと家具などに使うことが多い材です。

指板

演奏する時には指板がどうのこうのなんて感じたことはありません。
楽器の掃除する時に綺麗にします。
弦を張り替える時にしか,しっかり掃除できませんから…

エボニー日本語で黒檀。固く変化しにくい
ローズウッドバラの木ではない。産地も含め色々な種類がある。こげ茶系が多い
ハカランダギターには指板以外にも多く使われ、赤茶っぽいものが多い。
ブラジリアン・ローズウッドとも言う
メイプル外観で説明しましたが、元はネックのままでした。
最近は貼っているものが多いかな。クリアが塗装してあるものが多い。灰白色
ウェンジワーウィックが使用。木目が荒く見えるが音、手触りはグッドです

弦の張力を受ける部分なので、どの材も固く変形しにくいものです。

ボディとネックのジョイント

ジョイント方法には3種類あります。

デタッチャブル・ネックねじでボディに固定されます
セットネックバイオリンなどのように、ボディに貼り付けられますが、
各メーカー色々な組み込み方をしています
スルーネック複数の木を張り合わせ、ヘッドからエンド・ピンまで削り出します。
結果、ボディはこの構造物を挟み貼り合わせます。
この方法の楽器はボディと言わずに、ウイングと呼びます
デタッチャブル・ネック
デタッチャブル・ネック

スルー・ネック
スルーネック

セット・ネックやスルーネックの方が手間がかかり、高価になります。
しかし、ベースではデタッチャブル・ネックの方が人気あります。
なぜか音の立ち上がりがデタッチャブル・ネックの方が良いのです。

グラフ:アタックとピーク
黒の方が音の立ち上がりが早い
アタック:弦をはじいた瞬間


指板も影響を与えますが、フレットが打ってあり、塗装した指版もありますので、なかなか指版材だけでの評価は出来ません。
エボニー、ローズウッドに比べメイプルの方が、
「音の立ち上がりが早く、シャープだ。」と言われますが、
材より塗装してある為だと、僕は考えます。

楽器は何年か使用するとネックが反ったり、フレットやナットが摩耗したりしますので、リペア(注4)に出します。

その際にメイプル指板は再塗装の必要がある事があります。
塗装のための経費が掛かりますので、僕は無塗装のエボニー、ローズウッドの指板の楽器を使っています。

(注4)リペア:楽器を修理、調整すること。する人をリペア・マンと言います。
フレットのすり合わせ、打ち換え、指板修正、再塗装…。リペアを依頼すると、その他の調整もしてくれます。さすが本職なのです。リペアから帰ってきた楽器は良く鳴ります。

経験上、重い材の楽器の方が音が良い気がします。現に重い楽器もありますが、
持って歩いて、肩から掛けて何時間も弾くわけですから軽いほうが楽です。
この音色と取り扱い易さのバランスが取れているのが良い楽器と思います。

ボディの材、形状。ネック材、指板材。これらの組み込み方でほぼ音の傾向は決まってきます。
次回はこの木材構造物に取り付けられる、各パーツを解説します。

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