ギタリストは当たり前のように多用していますが、
近年、ベーシスト も エフェクター を使用している方が増えています。
歪ましたり、エコーかけたりと色々とありますが、
今回は、多くのベーシストが使っている
(アウト・ボード)プリ・アンプを紹介します。
プリ・アンプ
正確には、エフェクターとはちょっと違うものです。
プリ・アンプの「プリ(pre)」は**の前という言う意味です。
ついでに、「ポスト(post)」は**の後という意味です。
スポーツでプレ・マッチとか、ポスト・シーズンって言ってますよね。
僕らの場合、**はパワー・アンプです。
オーディオでは、” プリメイン・アンプ ”と言います。
ベース・アンプ(楽器用全て)も、プリメイン・アンプで、
メイン・アンプとパワー・アンプは同じものです。
パワー・アンプは単純に音を大きくするアンプで、
その大きくする前段階で、音色を整理するのがプリ・アンプです。
ベース・アンプのブロック図
図のように、アンプにはプリ・アンプは内蔵されています。
では何故プリ・アンプ(以下プリ)をあえて使うのでしょうか?
これには幾つかの理由があります。
- アンプ内蔵のプリより細かな調整をしたい。
- パッシブの楽器の場合に、ロー・インピーダンス(以下:ローインピ)の信号に変換したい。
- 音響卓に自分のつっくた音を送りたい。
- その他色々…
1.の場合
アンプ内蔵のプリはそれなりに大雑把なツマミしかついていませんので、
より細かく調整するためです。
2.の場合
パッシブの楽器の出力はハイ・インピーダンスといって、
ノイズに弱く、信号が劣化しやすいので、どちらにも強いローインピの信号に変換するのが目的です。EQ等の調整ツマミはおまけみたいに考えてもよいでしょう。
また、このローインピに変換するためだけのものを ” バッファー・アンプ ” と云い、
ツマミ類はありません。
また、アクティブの楽器はプリが内蔵されている(*)ため、ローインピで出力しますから、この目的での使用はない筈です。
(*):楽器内蔵のプリアンプは、少しでも早い段階でローインピにするのが目的です。
これも、EQはおまけみたいに考えて良いでしょう。(やさしい音楽理論-楽器編#03 参照)
3.の場合
一般的なライブでのセッティング図です。
ベースの音はアンプに入る前にダイレクト・ボックス(D.I.)で分割されてPA卓に入りますので、
ベース・アンプで作った音は、原則、お客さんには聞こえません。
音色を変化させる場合はD.I.の前にプリ、エフェクター類を接続します。
そんな訳で、最近のプリには D.I.、エフェクト・ループ(注19)、ひずみ等の機能が付属しているものも多いです。
この目的での使用が多いと思います。
また、ベース・アンプのプリの影響を受けたくなければ、
プリから↑アンプ図の Return へ接続する方法もあります。
(アンプにプリをバイパスするスイッチがついているものもあります。)
(注19)エフェクト・ループ:エフェクターを接続するための回路。スイッチを踏むと、ここに繋いだエフェクターへ回路が迂回する。
ダイレクト・ボックス:正式名称はダイレクト・インジェクション・ボックス。略してD.I.と呼びます。詳細は ↓。
僕の場合も基本、3.です。
「素の音を送るときは、D.I. の前は可能な限りシンプルにしたい。」ので
昔は、ボリューム・ペダルのチューナー・アウトからチューナーを繋いでいましたが、
実験の結果。
ボリューム・ペダルを全開にしても、抵抗は ” 0 ” にならず音質の劣化は起きていることに気が付き、
チューナーをループするためのスイッチャーとしてして使っています。
プリのダイレクト・アウト、ループ等からチューナーへ信号を送れば、
音色の補正をし、チューナーを回路から外せ、ミュート・スイッチを使えば音を出さずにチューニング出来ます。
ちょっと思い浮かべても、
TECH21, aguilar, RADIAL, MXR, EBS, BARTOLINI, DarkglassElectronics, EDEN, ALBIT, FEEDOM, PROVIDENCE…と数多くのメーカーのものがあります。
どのメーカーのが良いのか?
多くのサイトで紹介さていますが、結局 CM だったりで、使ってみないと分かりません。
そこで現在、僕が使っているプリ・アンプを紹介します。
参考になれば幸いです。
プリは「原音重視」系と「メーカーらしい音質」系に分かれると思います。
HAO BASS LINER
「原音重視」系と思います。
5バンドEQ:+-18dB。周波数設定ポイントが良くて、使いやすいです。
Input Gain:最も強く弾いたときにピーク・ランプが付くように調整します。
Level:出力です。on、offでのレベル差がないようにします。
Direct:ここにチューナーを繋いでいます。
電源:DC9~18V。バッテリー駆動では数時間しか使えません。18Vで使用しています。
Mute スイッチで Output はミュートされ Direct のみ出力されます。
「原音重視」とは言っても、EQ フラットにしても音質は変わります。
↓ Sadowsky のような変化ではなく、素の音の濁りを取り除いたような、きれいな音質に変わります。
また、ノイズは全くと言っていい程ありません。
素晴らしい「コスパ」です。
Sadowsky P.D.I.
強力な「メーカーらしい音質」系です。
EQはTreble,Bass:+のみ18dB。
Volume:出力を決めます。on、off でのレベル差がないようにします。
Tuner Out と XLR Out: D.I. が付いています。
これも Mute スイッチで Tuner Out のみ出力します。
電源:9V。間違えて、12V繋いでも壊れませんでした。7.5Vに落ちると警告ランプが点きます。
ジャズべに繋げば、Sadowskyっぽい音になります。音を作るというより、「 Sadowsky 風の音にする。」プリです。
EQが2バンドで+しかなく、機能の割にお高い感がありますが、
これは、驚くほどに全くノイズはありません。
多少音色を変えられる、または Sadowsky 風の音にする D.I. と思った方がよろしいかと思います。
また、スイッチの感触が素晴らしく、僕が今まで踏んだスイッチの中では最高です。
高級品の雰囲気出してますよ!
話の序で…
ダイレクト・ボックス(D.I.)
楽器(ベース、キーボード、エレアコ等)からの信号を PA卓とアンプへ分岐するために使います。
PA卓までは距離があるので、ノイズや劣化に強いローインピ、バランス信号に変換します。
(理論、原理は分からなくても良いと思います。)
昔は音響さんの用意した D.I. を何も考えずにお借りしていましたが、
最近では、 D.I. をプレーヤーが持ち込むことが多くなっているようです。
(現場で音響さんに、「 D.I. どうしますか?」と聞かれることが多くなってきました。)
何故かというと、D.I. で音が変わるからなんです。
ここで解説したように、ベーシストにとってはPA卓に送る音が重要なので、
D.I. も自分の好きな音がするD.I.を持ち込むプレーヤーが増えたのです。
- D.I. に音色の調整が付いたもの。
- プリ・アンプに D.I. の機能を内蔵したもの。
- ベース・アンプに D.I. を内蔵したもの。
等が発売されています。
自分の好きな D.I. を持ち込めば、音響さんの D.I. をお借りしなくてすむので、ここで紹介したSadowsky P.D.I. のようなタイプのプリが多く発売されている訳です。