(2024年6月4日 更新)
ベースを買う時に必要な知識
今まで多くの生徒さんと学んできました。
ほとんどの生徒さんが、レッスンに通うようになって2年ほど経つと新しい楽器を購入します。
初めは何もわからないですから、やむを得ないですよね…
実は、僕もそうだったのです。
初めて買った Fender Precision Bass の音が気に入らない、
John Paul Jones ( Led Zeppelin のベーシスト )みたいな音がしないのです。
当たり前なのです。 John Paul Jones の楽器は Jazz Bass だったのです。
Fender ならみな同じ音がすると思っていました。
初めて楽器を買う時、新しく楽器を買う時の参考にしてください。
木材の事などの詳細に語りだすと、長くなってしまいますのでとりあえず、外観のお話。
各部の名称
説明する上で困りますので、
まずは、楽器の各部の名称です。
(画像: Jazz Bass )
弦は細い方(画像右)から1,2,3,4絃(クラシック系の方は G、D、A、E 線 )と呼びます。
フレットはナットの隣が1F (フレット)。ブリッジに向かって2、3…と数えて、画像では20Fが最終フレット。
ナット、ブリッジ間の弦長が4種類あり
- ショート・スケール( 30 in. )
- ミディアム・スケール( 32, 33 in.)
- ロング・スケール( 34in. )
- スパー・ロング・スケール( 35in. )
メーカーによって微妙なサイズもあります。
外観(ボディの形など)
ボディ
Fender Precision Bass(プレシジョン・ベース)
( Photo : Fender のサイトより)
PB又はプレベと呼びます。
Clarence Leonidas Fender( レオ・フェンダー )さんが
最初に発表したモデルです。
これが僕が最初に買ったモデルです。
初期モデルは、テレキャスター・ベース、OPB等と呼ばれ、形、ピックアップが違いますが、現在のフェンダー社はこのモデルをプレシジョン・ベースと言っています。
画像は”メイプル指版”(*1)と言います。
PBの発表で、フェンダーさんは大ヒットすると思ったようですが、
いまひとつ売れない。
ベース弾き達は PB を持った感じに違和感があったらしいのです。
PB に触れるまではコントラバスを弾いていたのです。
そこで改良しました。
このベースでの、 名演も多々あります。
Carol Kaye による” Good Vibrations ( The Beach Boys ) ” などは、エレクトリック・ベース黎明期においては、革新的な演奏と思います。
Fender Jazz Bass(フェンダー・ジャズ・ベース)
そこでPBの改良版として Jazz Bass を発表しました。
PB をひしゃげた感じ(?)です。 JB 又は ジャズべ と呼ばれます。
コントラバスの感じに近づけるため、”ナットを狭くして”、
”ピックアップの配列を変えて”、”名前に Jazz を付けた” らしいです。
”ローズウッド指版”(*2)です。
現在もこの2タイプはエレクトリック・ベースの主流です。
世界中のメーカー、工房が作っています。
すごいと思いません?!
Music Man Stinrgray
(ミュージック・マン・スティングレイ)
( Photo : Music Man のサイトより)
フェンダーさんが Fender 社を辞めて作ったベースが Stingray 。
会社名が Music Man 。
フェンダーさんらしくPB風のボディに
3:1 のペグ配列は当時センセーショナルでした。
YAMAHA TRB-5
ヤマハが僕のために作ってくれたフレットレスです。
初期型なので34インチ・スケールです。
(現行モデルは35インチ)
PBとJBの中間みたいな形で、色々なメーカーが出している形です。
Warwick Jazz Man( ワーウィック・ジャズ・マン )
この形は、Streamer( ストリーマー )シリーズです。
このピックアップの配列だと ” Jazz Man ” と言い、指版は ” エボニー ” です。
Warwick は色々なモデルを発表しています。
Streamer は創業者の Hans-Peter Wilfer さんが
好きだったたからという説がある Spector と似ています。
Pedulla MVP4 ( ペデュラ )
この形は Pedulla 独特の形で他のメーカーにはありません。
最近、ペデュラさんは引退されてしまい、
もう新しい楽器は手に入りません。
この指版も”エボニー”です。
(メーカーサイトへのリンクもありません。)
(各Photoにメーカー・サイトへのリンクが貼ってあります。)
この他にも色々な形があります。
(*1)(*2):↓ネックと、後述 やさしい音楽理論 楽器編#o2 指版で解説します。
色、形が気に入っても要確認なのがストラップ・ピンの位置です。
PB、JB、Stingray は12フレット辺りにストラップ・ピンあります。● ●が12F。
他のモデルは12~13フレット辺りに
あります。
Photo : MVP4 では 14-15F になります。〇 〇が12F 。
ストラップで吊るした時に楽器の位置が変わります。
僕はず~とJBを弾いていたので、正直、MVP4 は弾きにくいです。
そんな訳で、奇抜な形の楽器を買うときにはストラップ・ピンの位置に注意しましょう!
ネック
これもほぼ PB(42mm)と JB(38.1mm)が基準になっており、多くの楽器がどちらかのナット幅です。
↑ で書きましたように JB の方がナットの幅が狭いです。
重要なのが太さですが、ネックの形状で印象は変わりますので、断面を大雑把に見てみましょう。
丸いネックはPB、おにぎり型はJBが標準。
同じ厚さでも、丸い方が太く感じる。
Pedullaは薄いネック。非対称で有名なのはMTD。
図のように色々な形があり、はっきり言って好みです。
以前はモデルでほぼ決まっていましたが、現在は色々なボディとの組み合わせがあるようです。
ネックが音に及ぼす影響は想像以上です。
1度ネックを交換したことがあるのですが、全く違う音、別の楽器のようになってしまいました。
また、指板の色が違うのは、材の違いです。
フェンダーは、初期の頃はクラシックの楽器と同様にネック材にメイプル、
指板にエボニーを使っていました。後に、ローズ・ウッドという材が主流になります。
(多分エボニーは高価だったからかも…)
ある日、面白い方法を思い付いたんでしょう。
指板をネックに貼らずに、そのままネックにフレットを打ったんです。
これをメイプル・ネックと言います。
現在はメイプル指板をあえて貼っていることが多いようです。
(↑ Photo の PB と Stingray です。)
ネック、指板は左手(レフティは右)でず~と触っていますので、この形状は重要です。
どんなにルックスが気に入っても、ネックを握って”ピンとこない楽器”は諦めましょう!
ピックアップ
音を拾う部品なので ” Pick up ” 、ピックアップも音色にものすごく影響します。
一応、音が出る原理を解説します。
コイルの中に磁石が設置してあって、その上を弦(金属)が振動します。
すると電気が起きます。故に音がします。
(フレミングの法則)
コイルが1つのものを、シングル・コイルと言いますが、このままだと、ノイズも拾いやすいのです。
そこで、もう1つのコイルを逆さまに繋げます。(逆相という)
この逆相のコイルと2つで1組にするとノイズが減ります。
この方式のピックアップをハムバッキング(ハムバッカー)と言います。
PB のピックアップ
1,2弦用と3,4絃用に分かれていて、
これで1つです。
ノイズ対策のため
ハッムバッキング構造です。
(Photo:ポールピースが見えないタイプ)
JB のピックアップ。
PBのピックアップを4弦全てに対応させて、ネック寄り、ブリッジ寄りに離しました。
ネック側をフロント・ピックアップ、ブリッジ寄りをリア・ピックアップと言い、
別々にボリューム・コントロールが出来ます
Soapbar ピックアップ
長方形のピックアップは
全てソープバーと呼びます。
ポールピースが見えないので、
このピックアップは外見からでは、
内部の構造は分かりません。
Stingray のピックアップ
丸い金属が8つ見えます。これが磁石で
”ポールピース”と呼ばれます。
コイルが2つ入っています。
(正統派ハムバッカー)
この2つのコイルのつなぎ方を
変えられるのが最近の主流です。
ハムバッカーと区別するためか
”デュアル・コイル”と呼びます。
Misic Manのピックアップなので、
MMと呼ばれています。
ピックアップの配列
楽器のスペックに使われる呼び方
- P : PB のピックアップ
- J-J : JBのピックアップ
- P-J:PBのブリッジ側にJBのリア・ピックアップを付けたもの。
(Photo : MVP4) - Soapbarはそのままソープバー
- Photo の Jazz ManはフロントにJ、リアにMM(このように表現します)と珍しいので、
上記のような定番の呼び方はありません。
塗装(色)
実に様々なカラーがあります。
メーカーの呼び方も様々なので、一般的な言い方。
ソリッド・カラー | 赤、白、黒等に塗装されているもの。(オリンピック・ホワイト:JB) |
サンバースト | 太陽のイメージなんでしょう。内側から外側にグラデーションが掛かっている。 中央辺りは木目見える。(PB) |
ナチュラル | クリアーが吹いてあり、木材そのままの木目が見える。( MVP4 ) |
オイル・フィニッシュ | ナチュラルなんですが、クリアーを塗装してない。綺麗ですが、傷つきやすい。 ( Jazz Man ) |
シースルー・** | 赤、青等色がついているが、木目が透けて見える。(例:シースルー・レッド) |
塗装も音に大きな影響与えます。
ラッカー系とポリウレタン系が主流だと思います。
ラッカーは柔らかく、紫外線(かな?)、温度、湿度などでの変化が起きますが、ポリウレタンは硬くほぼ変化しません。
初期の楽器はラッカー塗装が主流でしたが、強いポリウレタン塗装の楽器が増えました。
結果、”お安い楽器はポリウレタン”って時代もありました。
現在では材の特性などを考慮して、ポリウレタン塗装の高価な楽器もあります。
硬質な塗料で塗装したほうが、サスティン(音の伸び)が良いのですが、ラッカー、ポリウレタンともにボディ材の個性が出やすく薄く塗装がするのが良いという考えが主流です。
個人的には、どのような塗装も一長一短と思います。
外観を中心に書いてきました。
楽器のルックスは重要です。
弾かなくても見ていたいと思うような楽器を買うことが上達する近道だと思います。
材や各パーツによる音色の変化は次回にしたいと思います。